暗黒ギフト2
咄嗟に海斗は手を伸ばしていた。


その手が亮子の手首を掴むと、一気に引き寄せた。


亮子の体が人波の中へ戻ってきて、そのまま膝をついてしまった。


「大丈夫?」


身を屈めて質問すると、亮子は真っ青な顔をして頷いた。


「なんだよ今の。誰かに弾き飛ばされたように見えたぞ」


健が後ろから険しい表情で言った。


海斗にもそんな風に見えた。


誰かが亮子の背中を強く押したのだ。


でも、一体誰が……?


亮子が立っていた場所へ視線を移動させてみるが、そこにいるのは犬をつれた2人組の女性と、学校の生徒達だ。


みんな何事かとこちらを見ている。


大丈夫ですか?


と、声をかけてくれる人もいる。


違う、この人たちじゃない。
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