暗黒ギフト2
海斗がそう思った時、人混みから離れた場所に男の姿を見つけた。


その男は早足にここから離れていく。


もしかして、あいつか……?


たち上がってすぐに追いかけようとしたタイミングで、信号が青に変わった。


今まで立ち止まっていた人たちがいっせいに動き出す。


海斗は人に流されないように必死になって男を追いかける。


しかし、人波から出た時男はすでに小さくなってしまっていた。


「逃がすかよ」


小さく呟き走り出す。


とても追いつける距離ではなかったが、諦めるつもりもなかった。


亮子は梓の大切な友達だ。


亮子がいなくなったら梓がどれだけ悲しむか、想像に難しくない。


「逃げるな!!」


海斗が大声を上げると一瞬男が振り向いた。


その顔に見覚えがある気がして心臓がドクンッと大きくはねた。


思わず足が止まりそうになってしまう。


でもなんで?


どうしてあいつが……?
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