暗黒ギフト2
男の声が震えた。


海斗と健は一瞬息を飲む。


嘘だろ……。


海斗の体からスーっと血の気が引いていくのを感じた。


あ梓の様態がよくないことはわかっていたけれど、そこまでとは考えていなかった。


あと数ヶ月で梓がいなくなってしまうかもしれないなんて、考えただけで胸が押しつぶされてしまいそうだ。


「私はそこまでして生きていたくない!!」


梓の激しい怒号が病室内に響き渡った。


男がビクリと体をはねさせる。


梓は両頬を涙で濡らして男を睨みつけた。


「亮子は私の友達なの! こんな私のことを友達だって思ってくれているの!」


大声を出したせいか、梓が咳き込んだ。


咄嗟に男が近づくが梓が手で静止する。


「あなたはもう私の執事じゃない。今日、今この瞬間に辞めてもらう」


冷たい声が、病室内にこだましたのだった。
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