暗黒ギフト2
最初に梓が入院していた病室はナースステーションからすぐ近くだったっけ。


真っ白な個室で、一瞬梓の姿が見えなかったんだよな。


そんなことを考えながら大部屋の前で立ち止まる。


ドアをノックするまえに一度深呼吸をして、そしてノックをした。


「はい」


中から声が帰ってきて、心臓がドクンッと大きく跳ねる。


その声は出会ったときよりもハッキリとしていて、力強い。


声を聞いただけですでに泣きそうになっている自分がいる。


海斗は目に浮かんでくる涙を押し込めて、ドアを開いた。


5人部屋の一番手前の右手が梓のベッドだった。


梓はすでに私服に着替えをしていて、ベッドの上にはボストンカバンが置かれている。


そして先にきていた健と亮子が「遅いぞ」と、文句を言ってきた。


「悪い。これ、買ってきた」
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