暗黒ギフト2
この男にも随分と慣れてきたけれど、出会った当初は予言の手紙を持ってくる未来人だと思っていた。


秋吉家につかえているごく普通の執事だとわかれば、もうどうってことはなかったが、それでも怪しい雰囲気を肌がしひしひと感じている。


「お嬢様、深谷さまと西村さまが来られました」


屋敷の2階にある梓の部屋。


中から「どうぞ」と梓の声が返ってきた。


その声を聞くだけで海斗の胸はトクンッと小さく跳ねる。


だけどそれがどうしてなのか、海斗にはよくわかっていなかった。


「2人共来てくれてありがとう」


ベッドの脇に座る梓は相変わらず華奢で、年下にしか見えなかった。


「今日はこれを持ってきたんだ」


海斗が紙袋を梓に手渡す。


「なに? いい匂いがする」


紙袋から漏れ出てくる甘い香りに梓の頬が緩む。


くんくんと鼻で嗅いで、まるで犬みたいで可愛らしい。
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