暗黒ギフト2
梓は病院のベッドに寝かされていて、意識のない状態だった。


そんな自分を見下ろしている自分がいたのだ。


あぁ、これが幽体離脱っていうやつかぁ。


いつかマンガで読んだことのある幽体離脱を思い出す。


たしかこれって時間が経過しちゃうと体に戻れなくなるんだよね?


マンガの知識が正しいかどうかなんて考えてはいなかった。


ただ、このままじゃまずいことになるという感覚だけで梓は動いていた。


体に戻るためにふよふよと浮かんでいる自分をベッドに近づけていく。


しかしなかなか上手に行かずにベッドに近づいた途端離れてしまう。


幽体離脱をした体を操るのって結構たいへんなんだな。


そんなことを考えながらもまだ焦ってはいなかった。


自分が霊になっていると気が付いたのはほんの数分前だ。


マンガの中では24時間以内に戻ればいいと書かれていたから、まだまだ時間はある。


そしてその間にきっと、この魂だけの体にも慣れてくるんだろう。


そう考えると少しこのままで遊んでみたい気持ちにもなってくる。


家族は今どこにいるんだろう。


学校のみんなはなにをしているんだろう。


気になり始めると今度はうずうずしてきてしまう。
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