暗黒ギフト2
それでもどうにかアクビをすることなくやり過ごして、職員室を後にした。


担任は最近の海斗の活躍を見てきているから、余計に期待しているみたいだ。


最後には『みんなの模範的な生徒になってくれ』と言われてしまった。


が、もちろん海斗にそんなつもりは少しもなかった。


みんなの模範的な生徒ならもうすでにメガネ女子が存在している。


自分がなる必要はなかった。


急いで昇降口へ向かうと健がフーセンガムを食べながら待っていた。


もちろん学校内にお菓子の持ち込みは禁止されている。


健からフーセンガムをひとつもらって口に放り込み、2人肩を並べて歩き出す。


自分が先生に説教されている間にほとんどの生徒が帰宅したり、クラブ活動に向かったりしていて雰囲気がガラッと変わっている。


「今日も梓ちゃんの家に行くか?」


そう聞かれて海斗は即座に「行く」と答えていた。
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