暗黒ギフト2
☆☆☆

病院から出た海斗は放心状態だった。


あのあとどうにか病室へ戻った海斗だったけれど、梓が『少し眠りたいから』と言うのですぐに出てきてしまった。


きっと、海斗に気を利かせたんだと思う。


「病人に気を気を使わせるとか、俺サイテー」


青空を仰ぎ見て呟く。


今での鼻の奥がツンッとしていて、涙がこぼれ出てしまいそうだ。


それを抑えるために一生懸命上を向いている。


「お嬢様は元々移植手術が必要なんだ」


黒スーツの男が後ろからそう説明した。


「ここまで持ちこたえたのは奇跡だと医師も言っている」


梓の話を聞く限り、そうなのだろうと思っていた。


梓の命は1度消えかけていたのだから。


それを持ち直して、海斗たちと出会うことができた。


これを奇跡とよばなくて、なんと呼べばいいのだろう。


「ドナーっていうやつは現れたのか?」
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