暗黒ギフト2
健が持ち合わせていない知識をフル動員して男に質問する。


移植手術をするときにはドナーと呼ばれる相手が必要になる。


ドナーの体から臓器を提供してもらうのだ。


ただ、それも簡単じゃないことは知っていた。


ドナーを待っている患者さんは沢山いる。


梓の番が回ってくるだけで随分と時間がかかるはずだ。


更にはドナーとなる人も限られているという。


脳死状態に陥ったときなどに自分の臓器を移植してもいいと、意思表示していないといけない。


もちろん他にも色々と沢山条件がある。


ドナーが見つかったとしても、梓の体に臓器が適合しなければ意味がない。


手術を受けた後だって、回復に向かうかどうかはわからない。


自分が梓の立場だったら、きっと真っ暗闇の中を1人で歩いているような気持ちになるだろう。


そう考えると、今まで懸命に生きてきた梓の強さを垣間見た気がする。
< 63 / 176 >

この作品をシェア

pagetop