暗黒ギフト2
女神の手が伸びてきて、梓の首を掴んで引き寄せた。


その手は爪が長くシワシワで、まるで魔女や鬼を彷彿とさせた。


『お前は生前人をイジメたな。地獄行きだ!』


今まで女神様の姿をしていた鬼が梓の体を引きずって歩き出す。


ついさっきまで真っ白だった空間は、今や漆黒の闇に包み込まれていた。


『待て! 待ってくれ!』


海斗は必死に手を伸ばして走り出す。


2人に追いつこうとしているのに、全然前に進まない。


走れば走るほど2人との距離は離れていくばかりだ。


『助けて海斗くん!』


『梓ぁ!!』


梓の姿はやがて黒い闇に包み込まれて、完全に見えなくなってしまったのだった。
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