暗黒ギフト2
☆☆☆

メガネ女子は俺のことが好き。


だけど俺は梓のことが好き。


家に帰ってきた海斗はベッドに寝転んで同じことばかりを考えていた。


そもそも人を好きになったのが初めての経験なので、やっぱりよくわからない。


ただ、メガネ女子のことを考えているときと、梓のことを考えているときの気持ちは明らかに別のものだった。


メガネ女子のことを思い浮かべると楽しい気持ちになったり、学校での別の出来事を思い出したりする。


けれど梓のことを考えているときは心臓がドキドキして、梓以外のことを思い出すことはなかった。


これが好きって気持ち?


そう理解した上でもう1度メガネ女子との会話を思い出してみた。


『こんな風に考えるのって本当に最低だと思うけど……私秋吉さんが羨ましい』


メガネ女子はたしかにそう言っていた。


公園ではその言葉の意味が理解できなかったけれど、今ならなんとなくわかる気がする。


病気になっている梓のことを海斗が気にかけている。


だから羨ましいと感じたのだろう。


だけどそれは間違っている。


海斗は梓が病気だから気にかけているわけじゃない。
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