暗黒ギフト2
もごもごと断ると電話口から健の盛大なため息が聞こえてきた。


「お前、それでいいのかよ?」


「え?」


「このままずーっとお見舞いに行かないつもりか?」


そう聞かれて言葉を失った。


このままずっと梓に会えないなんて絶対に嫌だ。


そんなのありえない。


けれど、弱っている梓の姿を見るのはもっと辛い。


矛盾した感情が頭の中をグルグルと巡っている。


一体自分がどうすればいいのか、検討もつかなかった。


「まぁとにかく、俺は毎日お見舞いに行くから、お前もその気になったら来いよ!」


健はそう告げると一方的に電話を切ってしまった。


「健くんから電話? 出かけるの?」


母親から声をかけられても曖昧に返事をして、海斗はまた自分の部屋にこもってしまったのだった。
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