暗黒ギフト2
☆☆☆

自分は梓のことが好きだ。


そう自覚してしまうと余計にどんな顔をして会いにいけばいいかわからなくなる。


変に意識しすぎてしまって、海斗は病院の手前で立ち止まった。


健からの電話を受けてここまで来てみたものの、どうにも勇気が出なくて踏み出せない。


休日ということで入り口から見える待合室は真っ暗で、ほとんど人の姿は見えなかった。


この状況だからこそ、余計に入りにくいんだ。


海斗は言い訳のように自分にそう言い聞かせた。


そして入り口に背を向けて歩き出す。


梓が入院した日以降、男からの連絡は来ていない。


校門前で待ち伏せしていることもないし、きっと梓の様態はあれから安定しているのだろう。


海斗はそう考えて一歩足を踏み出した。
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