暗黒ギフト2
次の瞬間、海斗の体は吹っ飛び頬に激しい痛みを感じた。


殴られたのだと理解するまでに少し時間が必要だった。


ジンジンと痛む頬に触れて男をにらみあげる。


その時、男の目に涙が滲んで浮かんでいるのが見えて海斗は息を飲んだ。


こんな大の男が泣く所なんて見たことがなくて驚いている。


「俺は毎回ここにギフトを届けるけれど、その内容は聞かされていない。よどほのことでない限り、俺には知らされない」


男がギリギリと歯を食いしばる。


その様子に悔しがっているということが痛いほどに伝わってきた。


長い間梓に仕えてきた男にとって、どうして梓が自分以外の男、しかも小学生に頼るのか不思議でならなかったに違いない。


そしてなにより、相手に嫉妬していただろう。


男は今まで少しもそんな様子は見せなかった。


海斗は思わず視線をはずす。


気まずい空気が2人を包み込んでいった。
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