暗黒ギフト2
「梓はわざわざ予知夢を書いた手紙を箱に入れて渡してくる。それは、お前以外の人間に見られないようにするためだ」


そして、男はそんな梓の気持ちを汲んで、決して中身をみることはなかったのだろう。


2人が強い信頼関係で結ばれているのが痛いほどに伝わってくる。


「梓にとってお前は特別なんだ。俺なんかよりもよっぽどな」


男が座り込んだままの海斗にギフトを差し出す。


海斗はおずおずと手を伸ばしてその小さな箱を受け取った。


箱は相変わらずとても軽くて、振ってみると微かに音がした。


「……ごめん」


海斗は小さく謝ると、勢いよく立ち上がり学校へと向かったのだった。
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