秘密育児なのに、不動産王は私と結婚する。
しかし廉は少しも反応せず、普通に視線を取り戻した。

「紗絵子は京都ではかなり有名ですが、やっぱりきれいですね」

「ありがとうございます」

私は少し気まずいので、芸者がどのように客を接待するか全然分かりません。

「こちらは閑院さんです。紗絵子さん、ぜひ閑院さんをおもてなしください」

「はい、承知いたしました。」

私は緊張して廉のそばに正座して、廉のために酒を注いだ。

「閑院さん、どうぞ」

廉面は無表情に酒を飲んでいる。

男たちは仕事の話をしているうちに、にぎやかになった。

廉だけは相変わらずくよくよしている様子だ。

「紗絵子さん、琵琶の腕が高いそうですね。私も琵琶を習っていますが、一緒に演奏していただけませんか」

男たちは拍手をした。

「紗絵子、紗絵子…」

私は琵琶を演奏することができません。
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