秘密育児なのに、不動産王は私と結婚する。

「どうしてここに来たの?」廉は私に聞いた。


「すみません。お父さまのこと、森山さんから聞きました」


私は正直に答えた。


廉は驚いて振り返ると、呆然として、また頭を回した。


「俺はお父さまのような無責任な人間じゃないから、そんな馬鹿なことはしない。琉菜は山を下りることができる」


「ごめんなさい。廉の人生がよく分からないので、廉の立場に立って廉の考えを考えることはできません。でも、つらいことも悲しいことも、廉に分かち合いたいです。廉一人で黙って耐えさせたくないです」


「何の話だ?」


廉には言葉で返事ができない。


傘を捨てて、私は大雨の中で廉を抱きしめて、彼にキスをした。


顔が濡れていて、冷たい雨なのか熱い涙なのか分からない。


「私は廉を愛しているので、廉が行方不明になったと聞いてとても心配していました。でも、廉がもう少しここに座りたいなら、廉と一緒にいたいです。風も雨も雷も電気も。廉のそばにいたい」


「瑠菜、無理しなくていいよ。ただ、空君を治すためなら、ほかの人を選んでもいいよ。俺じゃなくてもいいよ」


「廉しかいない」


私は大声で強調している。


「原因は……」


「その原因は……」


「空も廉の子供で、血の繋がった…空は私たちの愛の結晶です」