こいろり!
「全然、最高じゃねーよ!布団取られるし、ベッドから落とされるし、母ちゃんが増えた感でマジ最悪だよ」
「璃香子、最強じゃん!!」
「うるせー」
朝の仕込みで忙しい母ちゃんに代わって、朝の仕度は璃香子が担当することになったらしいけど。早く起こされるのも、朝から部屋に入られるのも色々と困るんだよな。
「あ、そうだ。昨日、華ちゃんと遊園地行ったんだろ?」
悶々と頭をか抱えていれば、赤司がニヤニヤと俺の顔を覗き込んできた。
「あぁん?なんで……」
「華ちゃんに聞いたー。学校来ないと思ったらさ女の子とデートとかマジないけど、楽しかったんだろ?」
なんだよ、あいつ赤司に連絡するのかよ。苛っとする中、赤司が急に音量を下げて話し続けていく。
「彼女っていーよなぁ、楽しいよな。いやー、実はさぁ、泰良くん。俺も、彼女できちゃったんだぜ」
「はぁ???誰だよ、その物好きは!?」
「委員長の姉貴」
赤司がチラリと前の方の席に座る委員長の背中に目を向けた。
ざわざわと賑わう教室の中、俺等の会話に耳を傾けてる奴らは多分いない。
「あぁん?」
「泰良も利瑛もいなかった日、委員長の家で遊んだんだよ。そん時に、可愛いわねーなんて声かけられてさ……」
「マジかよ?つーか、展開早くね?」
「恋は突然にっていうだろ?」
「信じらんねぇ……。つーかさ、その委員長の姉貴のこと好きなのかよ?」