こいろり!
学校の昼休み──。
赤司が前から覗いているから、ブチッとボタンを押してスマホの画面を切った。
「あぁん??し、してねーよ!」
「してたって。マジですっげーニヤケてた」
「あはは、気持ち悪いくらいにねー」
赤司に続いて、利瑛もクスクスと笑いながら会話に参戦してくる。
俺、無意識のうちにニヤけてたのか……?
上がった頬の熱を隠すよう、自身の顔に右手を当てて大きな息を吐いた。
「いやー、でも分かるなぁ。彼女が出来ると舞い上がっちゃうっつーか、心ここに在らずのその気持ち。俺もさー、考えるだけでニヤニヤしちゃうもん」
「ちっ、彼女じゃねーし。はじめての彼女で脳内お花畑になってるお前と一緒にすんな!」
「あは、赤司も最近 気持ち悪いよね」
最近、彼女が出来た赤司と同レベルなのかと思うと情けねーな。そう思うと同時に、別に華花とは付き合ってるわけじゃねー事に気がつく。
「なぁなぁ、利瑛ー。今度の土曜日とデートで✕✕駅ビル方面に行くんだけどさ、飯とかどこが雰囲気いいん?」
「は?土曜日??」
赤司の"土曜日"という単語に反応してしまえば、2人の視線が俺に向けられるから一瞬で後悔した。