こいろり!
「なーんで、璃香子のことまで言われなきゃなんねーんだよ」
「私はこちらの田渕家につかえる身ですから、お嬢様に危険が及ばないよう交遊関係は把握しております。もちろん、購入取引のある加賀美家についてもしっかりと調査しております」
「……あぁ?」
「東中は素行の悪い中学で有名ですし。泰良さまは学校はサボりがち、血の気が多くて喧嘩っ早く、周りのお友達もガラが悪過ぎます。華花お嬢様にいい影響を与えるとは到底思えません」
「……」
「それと、余談ですが。加賀美家の次男坊は長男…お兄様の恋人である璃香子さまに恋心を抱いている、でしたっけ──?」
「っ、あぁ!?お前、ふざけんなよ!」
カッとなって周の胸ぐらを掴めば、コイツは顔色を変えないどころか俺を馬鹿にするような目で見下ろしてくる。
「はぁ。言葉より先に手が出る。やはり野蛮ですね。世界が違います。加賀美 泰良、金輪際お嬢様に近付かないで下さいね」
にっこりと続けられる周の台詞に空気が張り詰めた。
「では、来週は璃香子さまにお待ちしてますとお伝えください」