こいろり!



「あっれー、泰良?やーっぱ華ちゃんとデートじゃん!?」

「うっわ……最悪」


やっとの思いで電車に乗ると同じ車両に赤司の姿があった。


小さな町だ。買い物やデートと行ったら、駅まで出て街まで足を運ぶのが定番になっている。
そんな中、休日に出かけるという事は、知り合いに合う確率がかなり高かったりするんだよな。



「あら、赤司じゃない?久しぶりね!そうなの、これから私達デートなの!」


すぐ横に立つ華花が、俺の腕にぎゅっと手を回した。

この時間の電車は街に出る人集りで、空席なんて残っていない。
だから、俺等も赤司も車内の端に立った状態だ。



()げーし、ただの買い物の付き合いだろ?つーか、離せよ!こっちの棒に掴まれよ!」

「ひゃはは、華ちゃん相変わらずじゃん!面白(おもし)れー!」

「赤司もお出掛けなのかしら?」


人の話なんて全然聞かねー華花が首を傾げる。
あー、そういやこいつデートとか言ってたな……。目を向ければ赤司の隣に少し年上そうな女の子が立っていた。



「あっ、もしかして。加賀美 泰良くん!?」

「あぁ?あー……」


知らない女に突然 自分の名前を呼ばれて一瞬不快が生まれたけど。
赤司の彼女だ。すぐに同じクラスの委員長の姉貴だと気が付いた。


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