こいろり!
──周は黙って!土曜日、絶対に約束よ!
前の華花と周のやり取りを思い出す。
自分の誕生日だから、やけに今日にこだわってたのかよ。
いっつも、図々しいくせに、何で大事な事は言わねーんだよ。
華花がシュンと顔を下に向けているから、小さな旋毛が目に入る。なんだか、それさえも愛おしい。
「ふはっ、そんなの最初から言えば良かったじゃん?誕生日だから俺と一緒にいたいとかさー」
髪を乱暴に撫でると、華花がパッと頭を押さえて顔を上げた。
「……えぇ??そ、そんな事、言えるわけ…」
ピンク色に染まる頬、眉を下げて困ったように潤んだ瞳。
否定しない華花の言葉は、きっと本当に誕生日を俺と過ごしたかったって事で。
やっべー、超嬉しい。
緩む口許を必死で堪えて、右手で隠した。
「……お前、今日で何歳になんの?」
「今日、12月3日で9歳よ!」
「ふっ、しょーがねーからお嬢様に付き合ってやるよ。兄貴達のプレゼント買った後、映画でも何でもさ」
「ほ、本当かしら?嬉しいわ!!」
華花がぱぁぁぁと目をキラキラとさせて笑顔を見せる。
「ちなみにさ。俺、別にデカイのが好きとかじゃねーから、勘違いすんなよ」
「………本当だわ。そういえば璃香子あそこまで大きくないわね」
「…………」
そういう意味じゃねーんだけどな。
でも、こいつ笑うとマジで可愛いなぁ。
思わず手が華花の方に伸びたけど、流石にその手は止めた。