こいろり!



「華花、お前さ。バンコクいつ行くの?」

「……年末には向かうってママが言ってたわ」

「んで、いつ帰ってくんの?ずっと一生ってわけじゃねーんだろ?」

「えっ、えっと……、早くて2年……赴任が5年単位なの。パパは早めに行ってて、だから」


両手でジュースを持つ華花の声のトーンが少し下がっていく。


2年か、結構長いな。あっという間だろうけど、俺にとっても華花にとっても、2年はでかいのは分かる。
この2年という月日で、お互いに違う世界が広がっていくんだと思うと、嫌気がさしてくる。
でも、そんなのは顔に出しちゃいけない。華花が余計に不安になるだけだ。



「ふーん、じゃぁ早くて5年生の時には戻ってくるわけだ?」


テーブルの上には、ハンバーガーとポテトのセットがトレイに乗っていて、そこからポテトを2本摘まんで口に入れた。



「……えぇ」


華花が顔を下に向けてションボリと頷く。



「なんだよ、そんな一生会えねぇみてーな顔すんなって」


向かいに座る華花の頭にポンと手のひらを乗せると、その小さな唇が尖って頬が膨らむのが分かった。



「何よ……急に大人ぶって。おかしいわ!どうしたのかしら?泰良が今日は優し過ぎるわ!」

「お前、失礼だな。そら誕生日だからな。優しくしてやんねーと」

「そうなのね、お誕生日だからなのね……。ふふっ、凄いわお誕生日って!」





「あーそうだなぁ。俺の誕生日も祝って貰わなきゃなー!ちゃんと返せよ?」



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