こいろり!
03.少年の恋
はじめて璃香子に会ったのは小学生の頃だった。
2人は同じ高校の先輩と後輩で、璃香子が高1の時、兄貴は3年。
──泰良くん、はじめまして。晃良先輩にはいつもお世話になってます
はにかむ様にみせた笑顔。ほんのり赤く染まる頬。優しい瞳。
高校の制服を身にまとう璃香子がすごく大人に見えて、ドキドキしたのを覚えている。
今となっては当時抱いた感情が恋愛として好きだったのか、ただの憧れだったのかは分からないけど。
一目惚れだったのだと思う。
──お兄様の恋人である璃香子さまに恋心を抱いている、でしたっけ?
なのに……、調べるとかなんなんだよ。
くそ、周のせいで気分が悪りいな。悪趣味過ぎるだろ。
アイツの台詞に、俺の純粋だった気持ちが汚された気がした。
「ただいまー」
「おー、泰良。悪かったな。璃香子の代わりに配達行って貰って」
店の入り口とは反対側、裏口から入ってそのまま階段を上がろうとすると。居間の方から兄貴の声がした。
兄貴は近所の整備工事で働いている。璃香子の恋人で、付き合いだしてもう3年近くなる。
「別に」
兄貴のために行ったわけじゃねーし。
「璃香子と病院に行ってきたんだけど。とうぶん安静って言われてさ、仕事には来れなくなったから」
「はぁ…?」