こいろり!
部屋の中を見渡すと、ソファに4人、扉の前に1人とそのすぐ横に1人。……6人もいるのに、これって絶対に話し合いじゃないわよね。
どうしよう、泰良が痛くて酷い目にあったら──。
「あいつさー、すっげー慌ててんのな。マジ、うけるわ。こーんな小さい子供相手なのになぁ。変な趣味でもあるんかなー」
さっきまで電話をしていたロン毛の男の人が笑いながら私に近付いて。「ふーん」と息を吐き出しながらしゃがんで、私に視線を合わせてきた。
「………っ、」
「えー、酷いなぁ。そんな怯えないでよ」
「…………あ、あ、の、…た、泰良が来るん……くるでしょ、い、痛い、ことはしない…………で、あげ、あげ…」
喉が熱くて痛い。上手く息が出来なくて、呂律が回らない。とても怖くて、声が震えてしまうわ。
どうにかしなきゃいけないのに、どうすればいいか分からなくて、また涙が出そうになる。
「震えちゃって可愛いなぁ。これが加賀美の大切なお姫様ねぇ。あー、何か口止めの動画とか撮っといた方が良くない?」
「そんなことしたら、逆に証拠残って俺等がヤバいじゃん」
ロン毛の男の台詞に続いて、ニット帽を深く被った私を連れてきた男の言葉が続く。
"証拠"って何?意味がよく分からないのに震えが止まらない。
「でもさー、加賀美の大切な女の子なんだろー?これで一生あいつの事、脅せんじゃね?」
伸びてきた手が、私のワンピースを捲り上げるから、体がピシリと固まった。