こいろり!
15.少年の後悔
華花からの電話なのに、相手は華花じゃなかった。
『あー、こんにちは。加賀美くんの携帯ですかー?』
パッとスマホを耳から離して画面を見ると、やっぱり華花の名前が表示されている。
は?………なんだこれ??
『てゆうか、お前のお姫様預かってんだけど?』
"ひゃはははは"と、愉快そうに続く知らない男の笑い声に、頭が混乱していく。
全身の血の気が引いて、背中に嫌な汗が涌き出てきた。
ドクン、ドクンと心臓の音がやけにうるさい。なんだよ、これは……。預かるってなんだよ。
周りを見渡すと沢山の人が目に入る。こんな人混みの中、連れ去られたのだろうか。
なんで、華花が──?
「お、お前、誰だよ……?華花は何処にいんだよ!?ふっざけんなよ、言えよ!!教えろよ!!?」
『えー、どうしよっかなー』
こっちが叫んだところで、スマホの向こう側でケラケラと笑われるだけ。
『なんだよ、お前が悪いんだろぉ?お前が恨まれるような事するからさー。沢山いたぜぇ?中学から高校生まで。お前を痛い目あわせたいって奴がさぁー』
ぐるぐると今までの記憶を思い出しても、心当たりがあり過ぎて誰だか分かんねぇ。
『助けて欲しかったらさー、加賀美1人で来いよ。赤い頭は連れてくんなよ。1人で来なかったり、警察とか連絡しちゃったらこの小ちっちゃくて可愛いお姫様どうなるかなー!?』