こいろり!




「この辺でカラオっつったら、あそこしかなくね?」

「…………」

「あー、うちの友達、そこでバイトしてるよ!聞いたげよっか?」


ずっと隣にいた赤司の彼女がそう言うから、俺と赤司の視線が一気に向いた。





*****




駅ビルから1本裏通りに入って、古いビルが目に入った。
入り口に小さなネオンの看板が立っているも、下半分は割れて壊れている状態で。電光掲示板の文字が点滅していなければ、営業しているかも分からない位ボロい。

ここらでカラオケは1店舗しかなくて、柄の悪い奴等のたまり場にになっているのは有名だった。


急いで店の中に入ると、カウンターには人がいない。店員も少なくて、防犯のために設置されている監視カメラの意味も無いに等しい状態なのか。




──連絡きたきたー!ヤバそうな部屋あるって。1階の106号室。男何人かあとから入ってきたって…


委員長の姉貴がくれた情報を思い出す。
106号室。1階の1番奥の部屋だ。いくつのも部屋を通りすぎて、手前で隠れるよう背中を壁につける。

落ち着け、落ち着け、と自分に言い聞かせた。
胸に手を当て肩でゆっくり深呼吸をして、扉の真ん中のガラス部分から顔をそっと覗かせる。





「…………華花?」


部屋が全体的に暗いのと人影で中が見えずらいけど、確かに小さな女の子がいるのが見える。
ポケットのスマホに手を伸ばしたところで──、


ガンッ!!!と、後頭部を誰かに殴られた。


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