こいろり!
勢いよく襖を開けると、兄貴と母親が呑気に揃ってお茶を飲んでいた。
「璃香子、大丈夫なのかよ!?」
「まぁ、一応休んでれば平気だって」
「そうなのよー、璃香子ちゃんお休みするのよ。家で休めば?って言ったんだけど家に帰るの一点張りでね。あ、あんたにお礼言ってたわよー。田渕さんとこの行ってくれて。ちゃーんと、礼儀正しく届けられた?あそこ昔からのお得意さんなのよ。あそこのおばあちゃんがね、昔からのお得意さまで……」
「ばぁさんなんて、いなかったけど?」
「あらー、じゃぁもしかしてもう……。あ、そうそう。あんた、また学校から連絡あったわよ!無断早退したんだって?」
「いでででで、暴力反対!」
「電話口で何度頭下げたと思ってんのよ!この不良息子がっ」
なんて怒鳴り声とともに、母親に髪の毛を引っ張られながら強く頭を小突かれた。
口より手が出る、野蛮、という周のムカツク台詞が頭に思い浮かぶ。
こんなのうちの日常茶飯事だけど。あの大きな金持ち屋敷と、小さな庶民のケーキ屋じゃ育ちも礼儀も何もかも違うのだろう。
ということで、1週間後──。
「洋菓子店kagamiでーーーす!!」