こいろり!
華花に真っ直ぐ目を向けると、その瞳が戸惑うように揺れるのが分かった。
「華花、本当にごめん。お前があんな目にあう必要なんかなかったのに……」
「やめてよ、いいのよ!謝らなくても。確かに怖かったけど、私はちゃんと無事だったわ!それに、泰良の方がひどい怪我をおって……」
「そういうことじゃねーよ!無事だったから良かったじゃねーんだよ!!マジで、あんな一生トラウマになるような怖い思いさせられてさぁ。俺がちゃんとした奴だったら、拉致られるなんてこと、なかった……俺なんかと出掛けてなければ…」
ぐっと息が詰まる。喉が痛い。目頭が熱くなってくる。
こんな小さな女の子1人、守れなかった自分が情けなくて堪らない。
ぐっと拳に力を入れたところで、華花がフフッと笑った。いつもと変わらない笑顔で。
「じゃぁ、私で良かったわ!璃香子じゃなくて本当に良かった!」
「…………」
「お嬢様、それは…」
なんで、華花にこんなこと言わせてんだよ。
どっちも、駄目だろ──?
華花より、俺の方がよっぽど子供じゃねーか。
目から熱い何かが溢れて頬を伝っていくから、隠すよう顔を両手で覆った。