こいろり!
華花の母ちゃんが腕を組み、ベッドの横に立って上から俺を見下げる。
相変わらず、圧が半端なくて病室の空気が一気にピリッとなった。
「泰良くん、体調はどうかしら?」
「…………はい、少し悪いです」
「そうよね、まだ昨日の今日だものね。ふふっ」
前に会った時と変わらない、美魔女の目力に一気に血の気が引いて身が縮まる。
笑い方は華花と同じなのに、なんでこうも違うんだよ。怖えーよ。
「は、華花を危険な目に合わせて、も、申し訳ありませんでした。……あ、あの」
「ママ!泰良は悪くないのよ?私が勝手に……」
「今回の件、向こうが全面的に悪いと聞いているわ。その話は怪我が治ってからまた後でしましょう?今日は泰良くんあなたの様子を見にきただけなのよ」
美魔女が艶のある唇を緩ませてから、今度は華花に視線をうつして言葉を続けていく。
「華花、泰良くんは大怪我しているのよ。長居は負担になるわ。今はゆっくり休ませてあげましょう?」
「分かったわ、ママ……。泰良、体お大事にしてね。後で連絡するわ!」
美魔女について病室の扉に向かう華花が、名残惜しそうにチラリと俺の方を見た。
「お嬢様、ほら行きますよ。泰良さま、お大事に」
周が華花の背中にそっと手を置いて病室を出て行く。
「うわー、やっべー。華ちゃんの親、すっげ圧が怖くね?」
部屋に残されたのは俺と赤司で、赤司の台詞に小さく頷いた。