こいろり!
17.少年とお嬢様
「おい、加賀美!もう、騒ぎ起こすんじゃねーぞ?」
人相の悪い警官に捨て台詞を吐かれ、母ちゃんと警察署を後にした。
退院した帰り道。警察に任意同行で連れてかれ、あの日の事件についてしつこく尋問を受けたのだ。
他の男達がどうなったかも教えてくんねーし。赤司の言う通り逮捕されて、鑑別送りになるのだろうか。
「ひっでー、俺今回 被害者なのにさぁ」
「あんたの普段の行いが悪いからでしょう?あんたが補導されて何回迎えに行ったと思ってんの?警察から電話ある度に、もう母さんヒヤヒヤもんなんだからね!!」
隣を歩く母ちゃんに頭を叩かれるから、ギッと睨みかえした。
「あぁん?痛ってーじゃねーか?俺、怪我人だぞ?」
確かに、今まで喧嘩やサボりで警察に捕まって母ちゃんに迎えに来て貰ったことはあるけど。んな大袈裟な。
「あんたは、ちょーっと頭を打たれた方が良かったんだよ!出来の悪いバカ息子が!!」
「はぁ?ひっでー!それでも親かよ…」
「男の子だからちょっと悪さしても仕方ないよ?仕方ないと思ってたけどさぁ、女の子巻き込むことないでしょう?しかもあんな小っちゃい子」
「俺じゃねーし、向こうが勝手に巻き込んできたんだよ!」
「もう、華ちゃん無事だったから良かったけど。あんな良い子、普通なら警察なんかにお世話にならないんだよ!」
「…………」
「本当に何かあったらと思うと……、あぁ母さん生きた心地がしないんだよ!明日、華ちゃんの家にどんな顔してお詫びに行けばいいのよぉ…」
母ちゃんの悲痛の叫びが、辺りに響き渡った。