こいろり!



こいつはマメに帰ってくるとは言うけど。華花が俺ん家にいるという、今まで当たり前だったこんな日常も減っていくんだろうな──。

なんて、しんみりしたところでバカ兄貴が後ろからガッと肩に手を回してきた。



「おぅ、さっきからアレが()っげー見てるけど。あんなんで色々やりにくくね?」

「あぁん??」

「アレ、どうにかしてやろーか?」


"アレ"と言って、親指で指した先には"周"がいて、すぐさま兄貴が周の元へ行き絡みだした。
余計なお世話だと思いながらも、周が見張られている中で華花と話しにくい時があるのも事実。

2人の絡みを見てると、周があっという間に酔っぱらわされている。

うわー。アイツ、運転手なのに平気なのかよ?




「あら、大丈夫かしら?周の顔が赤くなって……」


華花がすぐに気が付いて、周の方に駆け寄ろうとする。
でも、こんなチャンス。こいつが日本にいる間、滅多になさそうだな。

華花の腕を引っ張って俺の方へ引き寄せる体を少し屈めてから、こいつの耳元で小さく口を開いた。






「お前さ、ちょっと俺の部屋これる?」



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