こいろり!
「はぁ、凄いわ。璃香子がママになるのねぇ。嬉しいけど、会えないのは寂しくもあるわ……」
「そんな璃香子に会いたいなら、華花が自分で璃香子んとこ行けばいいだろ?」
シュンとする華花にそう言えば、「そうね!」と目を輝かせた。
「あ、じゃぁさ。華花はスマホ持ってんの?連絡先教えろよ」
「いいわよ!」
「お嬢様、ご家族以外に教えるのはよろしくないかと……」
「えー、泰良ならいいでしょ?私のお友達なのよ」
「ふはっ。周、華花もこう言ってんだからいーじゃねーか?」
華花のソファの横に移動して、背もたれに手をかけた。IDの交換をしていると、周が背後からめちゃくちゃ睨みをきかしてくる。
「よし、完了!華花、暇だったらいつでも連絡していーからな」
「うん!!」
チラリと周へ視線を向ける。
それから、小さな頭にポンと手を乗せると、華花の大きな瞳がより大きく見開かれた。
お嬢様にスマホを聞いたのは、完全に周に対する嫌がらせだったけど。
華花が俺のことを"お友達"と言って、凄く嬉しそうにスマホを握りしめているから。ちょっとだけ罪悪感を覚える。
でも、そんなものはすぐに消え去ったんだ──。