こいろり!
「泰良のスマホ、めっちゃランプ点滅してるぞー?」
教室の机の上に置いてあるスマホが鳴り続けている。
あー、なんで俺SNSのID教えちまったんだろう。机に伏せながら後悔しても、もう遅い。
「華花って、女かよ?」
「勝手に見んじゃねーよ!」
同じクラスの赤司が、ニヤニヤと目を向けてくる。
こいつは家も近所で小学校からの付き合いがあって、髪も一緒に色を変えた仲でもある。
「え、何?泰良、彼女できんの?」
「……あぁ?」
「うひゃー、マジで?その子どんな子?可愛い?どこで出会ったの?どこの学校…あ、マッチング系とか?でも良かったじゃーん。これで璃香子のことはもう忘れ……」
「お前、黙れよ。口塞ぐかんな?」
今日ほど、こいつの赤い髪がウザいと思ったことはない。
「俺にも分けろよー、泰良のケチん坊!」
「…………」
華花から送られてくるメッセージは、周にお昼ごはんに大嫌いなブロッコリーを入れられたとか。勉強を何時間も周にやらされたとか。お笑い番組を見てたら周に消されたとか。本当にくだらない内容だらけだ。
あげくに夜中まで永遠と終わらないスタンプ攻撃。
マジで早く寝ろよ、小学生。