こいろり!
04.お嬢様のお願い
「おい、どうしたんだよ!?」
車止めのブロックに座って膝を抱える華花がゆっくりと顔をあげた。
頬は膨ませ唇を噛み締めるその顔は、あきらかにふてくされている。
「なんだよ、来るなら連絡くらい入れろよ。つーか、ケーキ買いにきたなら中入ればいーじゃん……て、周は?」
店のまわりを見渡しても、周らしき奴も車も見当たらない。
「……周は置いてきたわ」
「あぁ?……じゃぁ、お前1人で来たのか?」
「スマホも置いてきたわ」
「……?」
「だって、スマホ持ち歩いてたらすぐに周に連れ戻されちゃうもの。私いつも監視されてるのよ!ひどいと思わない?」
「全然思わねーけど」
いやいやだって、お前みたいな小さな奴の居場所を特定するのは当たり前だろ?
と、困惑を隠せないで立ち尽くしていれば、華花が立ち上がり俺の両腕を掴んで必死に声を上げた。
「泰良までひどいわっ!私、家を出てきたのよ!学校の友達は……、私は海外に行ってることになってるの。だから、お願い!1日でいいからかくまって!」