こいろり!
「えー、やだよ。子供は家に帰れよ」
「いやっ。泰良も子供なんでしょう?周なんて嫌い!大嫌いっ。もうあんな家に帰りたくないわ!」
はぁぁぁあ?どうせこのお嬢様のわがままなんだろうけど。
つーか、コイツ学校に友達いんの?海外に行ってる事になってるってどういうことだ?
「だって、周は……おばあさまに会わせてくれないのよ」
「……あぁ?」
「今年の春に、私のおばあさまが……施設に入ったの。入る時はいつでも会いに行っていいって言ってたのに、全然行かせてくれないのよ」
「……」
「ひどいわ!ひどい……」
「お前さー、ここまで何できたんだよ?」
うちの団地はバス亭まで距離はあるし、駅なんて程遠い不便な場所だ。
「タクシーよ」
と言って、華花が小さなリュックからブラックカードを出した。
うわ。この色のカード、はじめて見たんだけど。
「なーんかさぁ、ここまでわざわざタクシーで来たんなら、勝手に行けばいーじゃん?」
「……へ?」
「会いにいけばいいだろ?一緒に行ってやるよ」