こいろり!
「なんか、悪かったなー」
帰り道。橙色の空に夕日が落ちていく中。
自転車をおす俺の隣を、華花が小さな歩幅で歩く。
「いーのよ。あそこに入る少し前、おばあさまとても怒りっぽくなっちゃってたのよ。それに、よくお家も勝手に出ていってしまったり……」
ポツリポツリと、お嬢様が言葉を落としていく。弱々しいその声色が妙に俺の胸に突き刺さる。
「だから、あんな穏やかで楽しそうな おばあさま。ひ、久しぶりに見れて………安心した、わ………っく」
どんどんと思ったら小さくなっていく台詞が最後にはしゃくり上がった。
華花の大きな瞳に水気が増して、大粒の涙が浮かび上がる。
お嬢様が自身の手で拭っても、ボロボロとこぼれ落ちていき乾いた地面を濡らしていく。
「うぇっ、………っく、ううぅ」
「……お、おい」
「う、うぇ……ん、え…ん、」
とうとう立ち止まって、声をあげて泣き出してしまった。
どうすんだよ、この状況。
確かに事情もよく知らずに連れてきちゃった俺も、少ーしだけ悪いかもしれねーけど。
なんかこれじゃ、完全に俺が泣かしたみてーじゃん。