こいろり!
子供の慰めかたなんて分かんねーよ。
途方に暮れていると、後方から走ってきた黒い車が突然すぐ横に止まった。
「華花お嬢様!!大丈夫ですか?」
運転席のフロントガラスが開いて顔を出したのは周だった。
「今回は随分と探しましたよ。施設からお嬢様が来たと連絡があったので助かりましたが……なんでスマホ置いてくんですか!?」
周が車道の端に車を寄せてハザードランプを付け、車から慌てて出てくる。
泣いている華花の前にしゃがみ込み、白いハンカチを顔に当てて優しく涙を拭った。
「……ひっく、だってぇ、あ、……周ぇ…」
小さな手が周にしがみつくよう抱きつけば、周も手を回し子供を宥めるようにポンポンと背中を撫でていく。
「泰良さま。なんで、お嬢様を連れてったんですか?」
「……ち、違うの、周 …。わたっ、わたしが…」
眉をつり上げて強い口調が俺に向けられれば、華花が泣きながら必死に周に何かを訴える。
それよりも、何で俺が怒られなきゃなんねーんだよ。
「コイツがばあさんに会いたいって言ったんだぜ?つーかさぁ、なんで言わねぇんだよ?ちゃんと言ってやれよ。華花の家族のことなんだからさー」