こいろり!
「うわ、すっげ。愛しの華ちゃんからのメッセージ!長文じゃん!!」
「またお前は…、勝手に見んな」
赤司が後ろから覗き込んできた。
学校の帰り、制服のまま立ち寄ったファースドフード店は、ガヤガヤと賑わっている。
ポテトとハンバーガーが乗ったトレイをテーブルに置いて、赤司が向かいの椅子に雑に座った。
「いやー、泰良に女が出来るとはねぇ」
「あぁん?」
「1回見てみたいなぁ、可愛い可愛い小学3年生の彼じょ……ぐぇっ」
「ちっげーし。おい、お前さ。それ以上言ったら首絞めんぞ?死にてーのかよ?」
赤司の頬を潰すと、ジェスチャーで謝ってくる。けど、顔は笑っていて、コイツが完全に面白がっているのが分かる。
「でさ、また会いに行くのー?」
「……璃香子しだい」
「なんで?璃香子そんな具合悪いん?」
「……」
赤司はまだ璃香子の妊娠のことは知らない。
無言のままハンバーガーを口にすると、赤司があからさまに溜め息をついて言葉を続けていく。
「いくら璃香子のこと好きでもさー」
「ほっとけよ!別に好きじゃねーよ!!」
「はいはい。でもさ、兄貴の彼女にそんな執着しなくても俺はいーと思うけどね。どーせご褒美も何もないんだろ?」
赤司に言われなくたって、璃香子に対する思いが無謀なことは理解している。
璃香子が俺のこと可愛がってくれているのは分かるけど。それは、兄貴の彼女だからで、まだ中坊の俺なんか男としてなんか見て貰えないんだ。