こいろり!
「おとなり、よろしいかしら?」
突然、聞き覚えのある幼い声色が耳に入る。
と同時に、タンっと音を立てて、パッキーセットの乗ったトレイが隣のテーブルに置かれた。
「……………あぁ!?」
「あら、泰良じゃない?ぐうぜんね!」
よいしょ、と強引にくっつけられたテーブル。すぐ横に腰をかけたのは、にっこりと口元を緩めた華花だった。
「…………はぁ?おい、なんだよ。ちょっと待てよ。絶対、偶然じゃねーだろ?」
「えー、誰?誰?もしかし、この子が噂の華ちゃん?」
「だって、泰良。お返事くれないんだもの!まだ家に帰ってないしー、今何してるのかなーって……もうっ、探したのよ!」
華花が頬を赤らめて唇を尖らせた。
赤司の隣には黒いスーツ姿の周が静かに座って珈琲を飲んでいる。
なんだこれ?意味が分かんねー。
「あなた、泰良のお友達なの?」
状況が飲み込めていない中。
華花が赤司に首を傾げると、赤司はニヤーと楽しそうに目を細めた。