こいろり!



璃香子がしゃがみ込むから、慌てて覗き込めば真っ白な顔を見せて小さく「大丈夫」と言った。



「おいっ、顔色、全然大丈夫じゃねーだろ?病院行くか?」

「泰良くん大袈裟だよ、ちょっと…貧血気味なだけだから休めば平気だし」

「母ちゃん呼んでくるから、ホール接客代わって貰えって」

「うん、もう交代の時間だし」

「じゃぁ、早めに……」

「でも、このあと配達がね、あって」

「はぁぁぁあ?ケーキの配達ぅ?なんで今の時期にそんなのやってんだよ!お前はもっと、」

「大切なお客様なの。お願い、泰良くん。代わりに行ってくれない?」


璃香子が眉を下げて両手を合わせて頼んでくるから。もっと自分の体を大事にしろよ!という言葉は最後まで言えるわけがなかった。
璃香子が悲しそうな顔を見ると、俺まで苦しくなってくるから。




「ちっ、しょうがねぇな。分かったよ!その代わり、アイツに連絡してちゃんと休めよ」

「ふふ、泰良くんは優しいなぁ。ありがとう!」


目を細めてはにかむ様に笑うから、この気持ちの罪悪感で思わず目を反らした。


璃香子の笑顔はマジでずるい──。







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