こいろり!
くすぐったいと思ったのは、華花の長い髪の毛だった。
温かいと感じたのは、華花の体温だった。
ガキって何で体温が高いんだろーな。
「た、……泰良?」
「全部、八つ当たり」
「え?」
「俺がすっげーガキ過ぎて、華花に八つ当たりしたんだよ。マジで悪かった」
「ま、まぁ、そうだったの?なら、仕方ないわね」
「お前、偉いな。ほんと璃香子のこと好きなんだなー」
「泰良も璃香子が好きなのよね」
「……まぁ、うん。好き、だよ」
「ふふっ、私と同じだわ」
顔を上げれば鼻を真っ赤にして笑う華花がいた。
コイツも本当に璃香子が好きなのだと伝わってくる。
璃香子に対する、俺の好きとコイツの好きは違う種類なのかもしれないけど。
全部、分かってた。
最初から兄貴の彼女だったし。弟としてしか見られてないし。5歳も年上だし。俺、子供だし。絶対に叶う筈がないんだってこと。
ただの憧れだとか、璃香子が幸せになればいいとか綺麗事並べては言い聞かせてたけど。
周が華花に言った言葉にも、頷いてしまった俺自身にもムカついた。
全部が重なって、俺よりもっと小さな女の子に怒鳴り散らすなんて情けねー話だ。
「うん……、すっげー好きだった」