こいろり!
「…………?」
「すっげー、すっげー好きだったんだよ」
キョトンと首を傾げる子供の前で、俺は何を吐き出しているのだろうか。
「んあぁ?なんで撫でんだよ」
「え、な、なんとなく。泰良が泣きそうに見えたから。泰良も寂しいのかなって思って」
「はぁ?泣かねーよ。馬鹿にしてんのか?」
「違うわ。少女漫画で見たのよ。男の人を慰めるときは、頭を撫でるのよ」
「ほーお……」
少女漫画なんて読まねーけど、漫画の世界だとそういうもんなのか。
華花が背伸びして、腕を目一杯伸ばす。
俺の頭に手を置いて上から下へ何度も撫でていく華花の姿が、あまりにも一生懸命だから自然と口元が緩んだ。ちょっと恥ずかしいけど、確かに悪くない。
あーあ。俺、がらにもなく落ち込んでたのか。こんな年下の奴に気付かれて心配される位に。
「泰良、もうちょっと屈んでくれるかしら?」
「あ?あぁ……」
少し腰を落とすと、俺の両頬に手を触れて華花の顔が近づいてきた。
唇に柔らかい何かが押し当てられたけど、一瞬何が起こったのか分からなくて──。