こいろり!
「泰良、元気だしてね」
「……は?…………え、あぁ?」
目の前にはにっこりと笑みを浮かべる華花がいて、後ろから「お嬢様、何てことを!?」という周の声が聞こえた。
「泰良さま、あなた馬鹿ですか?なぜ避けなかったんですか?」
「え、いや、だって、俺……はじめて」
「華花お嬢様!ホッペとか、唇からずれたとか、未遂ですよね?」
「未遂じゃないわ。駄目なの?慰めのキスもあるでしょう?本で読んだことあるし」
「キスは恋人同士が交わす愛の証なんです」
「えー、ママやパパともしたことあるわよ?それに私にとって泰良は特別なのだから問題ないわ」
「お父様もお母様も家族だからで、特別でもなんでも同意の上での愛の行為でして…………」
コイツ、今、キスした──?
周と華花がなにやら話してるけど、全然頭に入ってこない。
つーか、唇がすっげ柔らかくてビビる。
その場にしゃがみ込んで、自身の口元を手で押さえた。
ヤバイ。小学生にキスされたとか笑えねーし。ちょっと反応したとか、誰にも言えねーんだけど。