こいろり!
「もう帰るわ!周から連絡もきたし、帰るわ!!」
「おー、帰れ帰れ」
「さようなら!!」
ベーと舌を出しながら華花が部屋を出る。
バタバタと音を立てて階段を駆け下りていき、部屋に俺1人が残された。
「ふはっ、なんだあいつ。勝手に押し掛けて勝手に怒ってさー」
面白れぇけど……。もしかしてあいつ俺に幻滅して、もう来ないんじゃねーか?
さっき投げた雑誌に視線を落とす。
「………………まぁ、別に。来なくても清々するわ」
その時、制服のポケットに入れっぱなしのスマホが振動した。
─────────────────
昨日はきてくれてありがとう!お花も嬉しかった。ほんと毎日 暇してるからまた華ちゃんとご飯食べ来てね~!!
─────────────────
璃香子からのメッセージだ。続けてすぐにスタンプが送られてきた。
そうだ。昨日は苛々して、落ち込んで、無性に璃香子の顔が見たくて会いに行ったんだ。
すっかり、忘れていたけど。
華花が色々とやらかすから、気が紛れていたのは事実なんだよな。
もし、あいつが俺に愛想を尽かしたら──?
それはちょっと寂しいな、と思ってしまったのも事実で。
「…………んん?」
意外と、あのお嬢様を気に入ってる自分がいる事に驚いた。