こいろり!
「昨日、お会いしたばかりでしょう?大人しくお留守番してて下さいとお願いしていたのに、勝手に泰良さまのお店に行ってしまうなんて」
「だって!泰良が既読スルーして全然返事をくれないんだもの!!」
「忙しいのですよ。泰良さまにも、ご友人との付き合いや学業があるのですから」
むー。と、頬を膨らませれば、周が仕方ないとばかりに小さな溜め息をついた。
「ねぇ、周。昨日ね、泰良の部屋に水着の女の人の本があったのよ……。こう、胸がとても大きくて」
「………………そうですか」
一瞬、ピリッとした感じ。
周の後ろの空気が黒く濁ったように見えるけど、気のせいかしら?
「やっぱり、男の人はそういうのが嬉しいのかしら?」
「………………人によるかと思いますが。華花お嬢様、異性のお部屋へ突然お邪魔するのは今後控えた方がよろしいかと思います」
「どうしてかしら?」
「泰良さまも思春期ですし、何かと人に見られたくないものもあるかと思いますし……」
「それでね、喧嘩しちゃったのよ。ねぇ、周。私から謝った方がいいと思うかしら?」
「いいえ、放っておいたほうがいいと思います。むしろ金輪際、関わらなくても」
「泰良も中学生の男の子だものね。私が勝手にベッドに寝転んで見つけちゃっただし、私が悪いのよね」
「おっ、お嬢様……!?」
すぐ隣で周が慌てる声が聞こえた。