こいろり!
09.少年の日常
「うえっ、璃香子が結婚すんの?」
「泰良の璃香子がー??」
放課後の教室に赤司と利瑛の驚く声が響き渡ると、残ってるクラスメート数名が俺等の方にチラッと視線を向けた。
「だからぁ、もとから俺のじゃねーし。声でけーし」
「なんで?なんで?うっひゃー」
「あー、赤ちゃんね。そうだよねー」
2人がムカつく程に同情の目を向けられる。
利瑛にいたっては、ギュッと抱きしめられ背中をポンポンとしてきやがるし。
「うっせーよ!離れろって。別に今時、おめでた婚なんて珍しくねーだろ?」
「まぁ、そうだけどさー。まだ10代でしょ?」
「うわー、懐かしいなぁ…。小学生の頃、泰良の兄ちゃんが璃香子連れ込んでる時さー、部屋覗きに行ったよな」
「あぁ?それ以上言うなよ!?」
「えー、何?何?」
赤司の口を潰して言葉を遮るのに、利瑛が面白そうに突っ込んでくるから、ギッと2人を睨み付けた。
いつの間にか、うちの親と璃香子の母親も顔合わせして籍を入れて。先週、無事に璃香子が"加賀美 璃香子"となった。
安定期というのにも入ったらしく、病院からも動いて大丈夫でと言われたみたいだ。
もちろん無理は駄目だけど、時短で仕事も開始するらしい。