こいろり!



式場で香典出して、受付を済ませて璃香子と後の方の席に付いた。
周りを見渡すと、今まで見たことのない位に立派な祭壇が目に入る。その真ん中には、ばあさんの大きな写真と一緒に沢山の花が飾られていた。

通夜とかそんな出たことねーけど、それにしても豪華で人が多いな。



そんな中、前の方で親族が並んで立っているのが見える。
黒のワンピースを身に纏う小さな華花は、母親の腕にギュッとしがみついて震えるように顔を伏せていた。


顔は見えないけど。きっと、目を赤く腫らして泣いているんだろうな。

そうだよな。アイツまだ小学3年生だし、本来は親と離れて暮らす年齢じゃねーよな。
その上、学校も行ってねーし。


父親と母親と、華花。そして、その隣には兄貴だろうか。小学校高学年くらいの奴が立っている。アイツ、兄貴いたのか。全然、知らなかった。

華花には家族と暮らす、そういう選択肢があるんだな。




棺の中のばあさんは、数日前に会った時と同じように穏やかな表情をしていた。

この前、喋って笑ってて、動いてたのに。たいした関わりは無かったけど、やりきれない気持ちが押し寄せてきた。


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