こいろり!
「俺はいつだって華花のとこに駆けつけたのに?」
バッと顔を上げれば、開放された大きな玄関に腕を組んだ女の人が立っていた。
「……ち、ちが、う。そんなこと思ってねー…」
「ふふ、こんにちは。あなたが泰良くん?」
「あ、えーと、その」
「はじめまして、華花の母です。お話は伺っているわ、加賀美 泰良くんよね?華花がいつもお世話になってるみたいで、感謝しているわ」
美魔女だ。美魔女がにっこりと俺に微笑みを見せる。
すっげー、フェロモン。30代なんだろうけど、マジ迫力の美人で、顔立ちが華花とよく似ていた。
そっくりだけど、華花には無い威圧感が半端なくて。
「え、あ、……いえ」
別に悪いことしてねーのに、美魔女の圧に押されて萎縮してしまう。
俺が唖然と固まっていると、俺の上に乗る華花が上半身を起こして今度は俺の首に手を回してくる。
「ママ、この人が泰良よ!おばあさまの所にも一緒に行ってくれていたのよ!」
「おい。そろそろ離せよ」
この体勢はヤベーだろ?
俺の体から慌てて華花を引き剥がした。