こいろり!
「あなた、うちの華花に気に入られてるみたいだけど。華花が迷惑かけてないかしら?」
「いえ、全然、そんなことないっす……」
「ふふっ。うちの華花、可愛いでしょう?」
「ま、まぁ……はい」
「今日は学校はどうしたのかしら?」
「あー、ちょっと早退して……」
「泰良くんは華花の彼氏ではないのよね?どう思ってるのかしら?」
強い目力にパッと目を反らした。
なんだよこの空間。どうってなんだよ?
美魔女の質問尽くしに、頭の中がぐるぐると思考が回らない。
「嫌いでは無いってところかしら?ふふっ、安心して。うち、恋愛は自由なのよねー。やっぱり結婚は好きな人としたいじゃない?」
美魔女がにっこりと艶のある唇を緩ませるけど。
あぁ?どういう意味か理解できねーし。俺が華花を好きって事になってねーか?
「あの子、一端 好きになると長くてしつこいのよねー」
「あー……、」
そうですね、とは言えず。歯切れの悪い曖昧な相づちをする。
「祖母の四十九日がね、終わったらバンコクへ一緒に帰る予定なのよ。華花にはまだ言ってないけど、あの子を日本に置いてくわけいかないでしょう?せっかく仲良くなってくれたのに、ごめんなさいね」
「…………あ?」
「あと1ヶ月と少し。あの子にとって優しい思い出作ってあげて欲しいの」